2017年07月09日

インフレを起こさずに国債を帳消しにする方法|他の中央銀行も日銀にならえばって

Public Banking Instituteの創始者で、ベストセラー"Web of Debt: The Shocking Truth about Our Money System and How We Can Break Free"の著者であるEllen Brownさんの面白い記事が目につきました。こちらです。彼女によると、国の借金を失くすには、日本銀行のやり方がいいのじゃないかと言っているのです。

アメリカの連邦債務は現在20兆ドルにものぼり、返済するのは無理。利息だけでも膨大な額で、何でも2026年には年間利息が8300億ドルにもなるそうで、ほぼ1兆ドルです。納税者が毎年これを払っているわけですが、どう考えても返済は不可能。なにしろ、納税者から集めた所得税の半分がこの利息に消えてしまう計算です。

さて、アメリカが借金(+利息)を釣り上げるのに忙しい一方、日本は毎年7200億ドル分の国債を帳消しにしています。どうやって? 国債を日銀に売り、日銀は政府に利息を返しています。他の中央銀行が量的緩和を止めて国債を売ろうとしている中、日銀は国債を積極的に買っているのです。ほぼ無利息の借金を毎年借り換えて、事実上無効にしています。自分で自分の借金を買い戻したら、借金はなくなるからです。

もしFEDが日銀と同じように40%の国債を買い入れたとしたら、8兆ドルの国債を持つことになります。金融界は仰天し、ハイパーインフレになるでしょうか。日本の例でいくとそうはなりません。日本のインフレ率は0.02%とほぼゼロに近いのです。しかも、日本の失業率は過去22年間で最低の2.8%。しかも、円は2017年4月の時点で、ドルに対して6%も上昇しています。日銀のもくろみはインフレ率を上げることでしたが、これは達成されていません。

確かに20年間も低成長が続いていますが、経済は良好だとKevin Drumが"The Enduring Mystery of Japan's Economy"で述べています。生産年齢人口1人当たりGDPは、アメリカのそれよりも高いのです。それがどうして経済成長率が低いのかというと、高齢社会というデモグラフィックのためです。1997年をピークとして生産年齢人口が減少の一途をたどっており、労働者の生産力がいかに高くても、全体のGDPは低くなってしまいます。

世界銀行の前上級副総裁だったジョセフ・スティグリッツ氏は、所得の均等や平均余命、失業率、児童の教育と健康への投資、労働力サイズから見た生産性などの点で、日本はアメリカよりもうまくやっていると2013年の記事で述べています。もちろん、すべてが理想的というわけではないのですが。

いずれにしても、日銀が大規模なデジタル貨幣の製造で国債を買い入れしても、インフレが起こらなかったという事実が注目に値します。量的緩和政策で市場に流通する貨幣が増えるわけではないのです。量的緩和は銀行の準備金口座でアセットスワップを行うこと、つまり政府証券が準備金とスワップされるだけだと。準備金は一般の消費市場で費やすことも貸すこともできませんが、他の銀行に貸したり、政府証券を買うのに使うことができます。

日銀は、他と歩調を合わせて金融引き締めを行うように他の中央銀行から大きな圧力がかかっています。しかし、6月15日の会合で、日銀は、目標のインフレ率2%にはほど遠いため金融緩和政策を継続すると踏ん張っていますので、今のところは大丈夫(?)そうです。




posted by シルバーちゃん at 12:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 負債大国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック